A 1970s Home, Reborn for Modern Living生まれ変わった昭和50年代の住宅
November 19, 2025
日常をつくるstory 02
身近に見つけた、新しい日常
稲穂が実る、のどかな田園風景が広がる高松市郊外。その一角に「ホワイトベース」と名付けられた家がある。その名の通り、白く塗り替えられた外壁と屋根に、木製の玄関扉がアクセントになっている。シンプルながらも温かみを感じさせる、丁寧にリノベーションされた住まいだ。
この家に暮らすのは、県内外で登山ガイドとして活動する水沼佑太さんと、編集者の祥乃さん、そして2人の子どもたち。1年前、長女の小学校入学を控え、新たな暮らしの場所を探していたころ、祥乃さんの実家の隣に建つ空き家との縁が生まれた。
初めてこの家を内見したとき、南側に大きく開いた掃き出し窓が、何よりも印象的だったと祥乃さんは話す。冬でもたっぷりと陽が入り、室内はぽかぽかと心地よく。
天井は既存のまま利用。欄間を取り外したスペースに、ぴったりとはめ込んだレール型の照明
風通しも良く、初夏には爽やかな風がふわりと吹き抜ける。そして窓の先に広がる庭。のびやかで、抜け感のあるこの風景が、住まい選びの決め手となった。
リノベーションを依頼したのは、建築家の齊藤正さんと彩工舎によるタッグ。建築当時としては珍しく、壁が少なく、開口部が多い構造だったため、まずは耐震診断を実施し、現行の基準に合わせて丁寧に補強を施した。重厚感のある瓦屋根は、軽量なガルバリウム鋼板へと葺き替えられた。施工を担った彩工舎の射場さんは、施主と建築家との対話を重ねながら、耐久性と、場所ごとの使い勝手、そして既存の雰囲気を壊さない家づくりを心がけたと話す。大きな間取りの変更こそはなかったものの、西側の応接間と洋間を事務所にしたことで、キッチンやリビングといった生活空間とは、ゆるやかに分けることができた。
白い屋根は遮熱効果があるということから始まり、外壁や内装もすべてを白くすることに。玄関の左手には、佑太さんの事務所兼作業場がある。
2階の部屋は、家族みんなでリノベーション。春には、窓一面に満開の桜が広がる、青笹ちゃんお気に入りの部屋
左:押し入れを撤去して、ポリカーボネートの壁にして、自然光を入れた
右:事務所は靴のまま出入りできるように、モルタル敷きの土間にした。壁には、祥乃さんのお父さま手づくりの本棚を設置
無理をせず、自然体で
水沼さん夫婦に共通するのは、背伸びをせず、自然を楽しみながら暮らす姿勢。家づくりにおいても、それは変わらなかった。日々の家事も、家族みんなで助け合うことが当たり前。キッチンをアイランド型にしたのも、料理や片付けをみんなで楽しみながらできるように考えてのことだった。
また、かつての和室二間の壁を取り払い、縁側までひと続きにしたフロアへと刷新。家族が自然と集まり、思い思いの時間を過ごせる場が生まれた。「床材には、香川県産ひのきを使っているんです」と祥乃さん。足元からふわりと香る木のぬくもりが、日々の暮らしを静かに支えている。
「家具はまだ何も揃えていないんです。暮らしながら、本当に必要なものを少しずつ選んでいきたい。この家も、まだ完成ではないんですよ」と語る佑太さん。
I型キッチンに造作家具を取付けてアイランドキッチンに。庭を見ながら料理ができる、家族みんなのお気に入りの場所
朝の光を感じながら庭で朝食を。そんな海外の旅先で出会った風景を、この家にも少しずつ取り入れていけたら。そう語る表情は、どこか自由で、楽しげだ。これから先、また家を少しずつ直すことがあるかもしれない。でも、それも含めて楽しみたいのだと笑う。今は、子どもたちがすこやかに育っていくための「ベース」を、家族みんなでゆっくりと形にしているところだ。
ー2025年11月
かつて応接間にあった棚をキッチンで再利用
施工前の家の写真
他の記事を読む
Copyright (C) IKUNAS. All Rights Reserved.





