File-13 My renovation house 002住み繋ぐということ
August 07, 2020
あきリノ編集部スタッフが
実際のリノベーション暮らしを語る
戸建て編
(職種:ギャラリースタッフ)
ー家探しのきっかけ
東京から香川に移住したのは十年前。賃貸マンションに引っ越して来た。その時はまだ夫婦二人暮らし。
なのに「家族四人分ですよ、この荷物の量」と引っ越し業者。そう、我が家はモノが多い。それから八年、子どもが増え、我が家の生活スペースは狭まるばかり。
モノが溢れかえる家では、心も乱れてしまうのか落ち着かず、暮らしを整えたいなぁと思い、引っ越しを決意した。最初はマンション、新築なども選択肢に入れていた。しかし、とにかくモノが多いこと、そして子どもがまだ小さいのであまり郊外だと不便……。と希望の条件を思い描いていたところ、インターネットで一つの物件情報が目に止まった。
左:施工前 中:施工後。奥からキッチン、ダイニング、リビングをひとつなぎに 右:窓が入る前
ーこの家の思い出を繋ごう
見つけた家は、街の中心部から車で十五分ほど。電車の駅が近く、バス停もすぐ。希望より郊外になったけれど、利便性が高く広さも充分すぎるほど。見つけたのは、築45年の中古物件だ。
何より、下見の時に、この家に住んでいたおばあちゃんと会えたことが大きかった。県外に住んでいる娘さんと暮らすことが決まり、この家を手放す決意をしたそうだ。おばあちゃんからは、家族の歴史、家の思い出、そして、できればこの家を残したいという想いを聞くことができた。
予算面から中古物件を探していたけれど、おばあちゃんと知り合ったことで、「住み繋ぐ」という意識が一気に高まった。
私の性格で、〝有るものを工夫して素敵にすることが好き〟という部分とも合致した。
今思えば、おばあちゃんと話せたことは、手と手の温もりを感じながらバトンを受け取れる、という貴重な経験だったように思う。
「この家を壊さずに、私たちが住みます」
と伝えると、おばあちゃんも、とても喜んでくれた。
私たちの生活に合うように、リノベーションした部分はあるけれど、柱や建具を引き継いだり、現代の断熱材より優れているといわれる土壁を残したりした。また、大事な置物や掛け軸などをそのまま頂いたので、使えるものは大切に使わせてもらっている。
ーこれから始まる二期工事
母屋の二階は、手をつけず、まず、一階部分のみをリノベーションした。二階は子ども部屋にするので、まだ使うのはもう少し先になりそうだったのと、予算の面も考えて、五年ほど時期をずらして改めてリノベーションする計画だった。
だけど、少し予定より早く、今年、二階の工事に取り掛かることになった。
左:本当はアルミサッシの窓が入る予定だったキッチンの窓。別の部屋で使われていた木製のガラス窓を移設した
中:木製建具のサッシを選んだ
右:少ない予算だったけれど、きれいな中庭の樹々を眺められるように、天井までの開口の窓にはこだわった
きっかけは階段。昔の階段なのでかなり急でちょっと怖い。たまに行く場所ならいいけれど、小さな子どもがいる暮らしには不安があり、今、建築家の方に設計を依頼しているところだ。
中古物件は、決めた時には気づけなかったところもいろいろ出てくる。でも、新築物件のように、はじめに「全て決める!」というのではなく、自分の暮らしに合わせながらフィットさせ、変化していける。大らかな気持ちで向き合えるのが、リノベ住宅の魅力かもしれない。
ー2020年8月
施工中の様子。建築家の方と相談しながら、間取りは思い切って台所と茶の間、縁側を抜いて一部屋に。
玄関から続く壁も取って、エアコンを使わない季節はより開放的に
家族構成:夫婦、長男(5歳)、長女(1歳)の4人家族