あき家(空き家)とリノベ ときどきリフォーム

文学不動産

File-52 A modern coffee shop that pursues newness in the old古さの中に新しさを追求したモダンな喫茶店

February 04, 2022

レガロビズ

DIYだからこそできる、変わり変わらない形

高松市小村町にある「レガロビズ」は、まるで何十年もそこで営業しているかのような、レトロモダンな喫茶店だ。
 もとは築90年にもなる、農協の倉庫。解体予定だったその佇まいに一目惚れをしたという店主の平尾和司さん、侶美さん夫妻がセルフリノベした。店舗を構えてから、今年で7年目になるそうだ。
 店名の『レガロビズ』は、レトロの「RE」、ギャラリーの「GA」、ロマンチックの「RO」、ビストロの「BIS」を合わせたのだとか。現在、喫茶の方は金、土、日で営業している。
 かつての店舗外観の写真を見せてもらった。骨組みはそのままなのに、印象はガラリと変わり、窓や扉一つを取っても随所にセンスが光る。

左:レガロビズ外観。中央小窓はパイのテイクアウト用
右:店舗になる以前の外観(提供/レガロビズ)

石膏ボードをレンガの大きさに切り、一枚一枚塗装して貼り付けたそう

室内の構造は、柱のない体育館のような外壁だけのつくり。真ん中の壁で二つに区切られていて、調理場がある東側にはロフトが設けられている。
 窓が二つ並んだ店舗中央の小部屋は、パイのテイクアウト用に平日営業していく予定なのだとか。
 小部屋のグレーの壁は、一見レンガを貼り付けているように見えるが、実は石膏ボードを一枚ずつ切り取り、レンガ風にペンキで塗ったものを張り合わせてという。
 他にも、夫の和司さんが漆芸家でもあることから一部漆を使ったり、和洋折衷を取り入れたインテリアは、ノスタルジックなのにどこか新鮮さを感じる。
 創意工夫あふれる店舗は、二人の手によってまだまだ日々変化し続けているのだとか。
「飽き性なので、いろいろやってみたくなるんです」と、妻の侶美さんは笑う。
 今後の展開として、壁を隔てた西側の喫茶室を、着物の着付け用スタジオとして構想しているというので、見せてもらった。

おしゃれなレジカウンターには、和司さん作の漆の箸が並んでいる

左:調理場には本格自家焙煎機が見える
右:こだわりの珈琲は、漆の小皿と木の器で

左:カシューナッツの塗料で製作したそう。まるで向こうに空間があるかのような趣向が凝らされている
右:漆が塗られたドアノブのプレート

 こちらは天井の高さを活かして壁面もギャラリーとして活用した、ゆったりとした喫茶室になっている。レトロでおしゃれな家具にアンティークな雑貨がディスプレイされているので、時間を忘れて過ごしてしまいそう。
 中央の壁の素地を剥き出しにする事で、天井の梁と調和し、ダイナミックな空間の広がりを演出している。
 二人の魅力的な感性で、この場所がどのような空間になるのか。『レガロビズ』の今後の展開が楽しみだ。

ー2022年2月

店舗西側の喫茶室。東側のロフトからは眼下にこの大空間が楽しめる

左:剥き出しになっている断熱材や梯子はもとからあったもの。光に照らされた深い色合いが美しい
右:セルフリノベの様子。ロフト部分の中央の壁を剥がしているところ(提供/レガロビズ)

レガロビズ HP 

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