あき家(空き家)とリノベ ときどきリフォーム

文学不動産

File-06拠点を移し、自由に、柔軟に暮らす

May 29, 2020

畔家(アゼヤ)

移住して感じるのは
メリットが多いということ

香川県高松市中心部から車で15分ほどの住宅地にある「畔家(アゼヤ)」。これからの時代に合った農業を中心としたコンパクトな六次産業を行っている。この店舗をプロデュースした「sooop.」代表の片岡雅喜さんは横浜出身、妻の沙希さんは鎌倉出身。沙希さんの祖母が高松市におり、瀬戸芸の見学を兼ねて香川県を訪れた。初めての来県で、「環境の良いこの地で農を活かした店を作りたい」と思ったそうだ。また、祖母の空き家があり「もったいない」と感じたことも移住を後押しした。
 「香川県に来てみたら、何のデメリットも感じないんですよ」と笑う。今は人との関わりが増え、移住・起業セミナーの講師を依頼されることもあるという。

キッチンから連続性を持たせたリビング。

左:DIYで完成させた和室。 右:書斎と寝室もDIY。

外観

外観には手を加えず、
優先したのはキッチン。

「リノベーションを前提に、築五十年の家を引き継ぐことにしました。間取りは不便だけど、外観や、年月を経ているからこそ美しい部分は残すことにしました」と案内された玄関を入ると、一見、古民家とは思えないような、洒落た内装とインテリアに驚く。入ってすぐ右手には、心地良い音楽が流れ、カフェのような雰囲気のキッチン。この家の主役だ。また連続するリビングも最もこだわった空間の一つだそう。
 実は片岡さんは、東京で店舗のプロデュースや内観等のデザインを行っていたそうだ。
「コストを抑えるためにデザイン、設計を自分で行い、奥の部屋のDIYもしました。断熱材を入れ、畳を貼り…とコツコツと手を加えました」

雇った大工さんはたった一人。片岡さんと二人で六ヶ月間かけて完成させたのだとか。
 また、耐震性を高めたり、火の元はオール電化にするなど、危険なところは改善した。お子さんが小さいので、狭く急な傾斜の古い階段は取り払い、現在は一階部分のみを住居にしている。二階の改築は子ども部屋が必要になってから手をつけるそうだ。
 変えるものと残すものを計算しつつ、現在の暮らしに合わせた柔軟性のある家。
 天井を抜いた吹き抜けのキッチンに見える飴色の梁も、年月を刻んだ家具も不思議と馴染んでいる。どの部屋も手入れが行き届き、愛着と丁寧な暮らしぶりが伺える。窓を増やしたリビングには、朝の光がたっぷりと入り、家族の笑顔が絶えることがない。

ー2020年5月

店舗の建物は元納屋を改築。

畔家 Tel.087-815-1545 HP

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