あき家(空き家)とリノベ ときどきリフォーム

文学不動産

File-78 My Kitchen, Living with the Things I Love好きなものと暮らすわたしのKitchen

April 10, 2026

関元工務店

絵本から始まった家族の暮らし

三角屋根の天窓から差し込むやわらかな光が、広々とした白い壁と無垢オーク材の床を穏やかに包み込む。キッチンに立つと、掃き出しの窓の向こうに南側の田園風景が広がる。Sさん一家の暮らしは、そんな暖かな光と風景の中から始まる。
 この家を手がけたのは、関元工務店。打ち合わせの初日に、Sさんが一冊の絵本『ちいさいおうち』を持ってきたことが印象的だったと設計を担当した関元亜樹さんは話す。時代が移り変わっても、丘の上で静かにたたずみ、変わらずに暮らしを守り続ける「ちいさいおうち」。「私が思い描く家も、そんなふうに長く家族を見守ってくれる場所であってほしかったんです」とSさん夫婦は語る。流行ではなく、時間を重ねても変わらない、シンプルで穏やかな家。そんな住まいを求めて、関元工務店との家づくりが始まった。

「料理をしながらふと目を上げると、広がる田園風景に式を感じるんです」と語る。

少しずつ揃えていったジョージ・ナカシマのダイニングセット。気の質感を生かしたリビングダイニングキッチンとの相性も抜群だ

 関元さんは、家族の仲の良い様子から、自然とリビング・ダイニング・キッチンを家の中心に据えた。背後にパントリーを設け、そこに冷蔵庫やレンジを収納。動線をすっきりとまとめることで、広がりのある空間の中にも整いが感じられる設計となった。
 高校生の頃から家具が好きだったというSさん。現在は家具のアトリエで来訪者を迎える仕事をしており、国内外から訪れる人々と接するなかで、二世代、三世代と受け継がれていく家具の魅力や、暮らしに寄り添うものづくりの尊さを日々感じているという。
「家具や食器のように、長く使うものは自分が本当に好きなデザインを選びたい。一方で、水栓など、いつか壊れるものはできるだけシンプルに。それがわが家のバランスですね」と話す。

作り手の顔が見える道具や器を使いたい。佐賀県在住の陶芸家・藤ノ木陽太郎さんの奥さまは、Sさんの大学時代のご友人。「私好みの、使いやすい器を折に触れプレゼントしてくれるんです」と微笑む

 休日は、家族そろってリビングダイニングで過ごすのが定番。最近では、長女が料理を手伝い、母娘で並んでキッチンに立つことも増えたという。
 心穏やかに、日常を丁寧に暮らす。その想いは、この家とともに、静かに受け継がれていく。

ー2026年4月

パントリーに設置した冷蔵庫は、手を伸ばせばすぐ届く位置に。動線が良く、
カーテンを閉めればすっきり隠れる設計だ

「1日の家事が終わったら、キッチンは何もない状態にしておきたい」とSさん。作業後にすっきり片付けることで、気持ちも整うという

関元工務店HP

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