あき家(空き家)とリノベ ときどきリフォーム

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陶芸家ユニット 手島に暮らすvol.7

アキリノcolumnは、京都から香川県丸亀市の離島、手島に移住してきた陶芸家、松下龍平さんに古民家のDIY体験談を思いのままに綴ってもらう新企画です。どうぞお楽しみください。

 

文/写真 松下龍平

一緒に陶芸活動をしている松原恵美さんと、2019年春に瀬戸内海の離島、手島に移住。自分たちで古民家を改修しながら、「てしま島苑」の名で陶芸活動をしている。海岸の土や収穫後の野菜の残渣(ざんさ)、見頃の終わった向日葵など、島の素材だけを使ったやきもの “手島焼き” を制作している。住まいの他にギャラリーや工房スペースも改修中。

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前回、スタイロフォームと気密シートを使って、室内の断熱気密層を作り終え、壁には合板も打ち終わりました。また一歩 “家” に近づいています。

次は天井張りです。

季節はまだまだ寒さの残る春先、3月初旬の頃でした。1ヶ月半にも及ぶ辛い作業になるとは知りもしない私は天井板の1枚目を釘で打ち始めました。天井材は迷った挙げ句、相じゃくり加工された杉板を選びました。後々木酢液を使って黒くしてみたかった(タンニンと酢酸が化学反応をおこして黒く染まる、杉はタンニンが多く含まれているので黒くなりやすい)のと、見た目のカッコ良さ、そして比較的安価だった為です。しかし、この2000mm×150mm細長い板を約20㎡の天井に打ち付けていく作業がとてもとても大変で、重力や曲がった梁の存在、時には焚き火の煙にも苦しめられました。

脚立の上で、常に上を向き、細長い板を押さえつつ重力に逆らいながらの釘打ちは思った以上にしんどく、しかも季節はまだ寒い3月初旬。寒いからといって焚き火をすると、天井に煙が集まり、涙と鼻水が止まらなくなり、煙たいからといって火を消すと、手が悴(かじか)み作業がしづらい、結局寒さに負け、涙と鼻水に耐えながらの作業でした。梁と接している部分は、壁の合板打ちの時と同じ、切っては合わせ切っては合わせ。その時はものの曲がり具合をトレースできる型取りゲージなんて物がある事も知らずに、適当なダンボールに梁の曲がり具合を写してそれを頼りに切っていました。所詮はダンボールなので、正確性は低く隙間ができないように微調整を何度も行います。そんな事を繰り返しながら、1枚1枚、1本1本打ち付けていき、1ヶ月半。ようやく杉板の天井が完成しました。厄介ながらもカッコいい梁を見えるように天井材を張った甲斐があり、とても良い出来となりました。

次回はダイニングになる小上がりと寝室になるロフト作りについてお話していきます。

 

次回、陶芸家ユニット手島に暮らすvol.8 は、1月末発行のアキリノstories08でもご覧いただけます。

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