あき家(空き家)とリノベ ときどきリフォーム

文学不動産

File-79 A Kitchen Breathing Life into a Reborn Space再生された
空間に息づくKitchen

May 26, 2026

ウツミオリエンタル

受け継いだ暮らしを、
家族とともに、静かに紡いでいく

 峰山を背景に、凛と静かに佇む一軒の古民家。Kさんは、この家を初めて訪れたとき、「ここに住みたい」と直感したという。築100年近い家は、ご主人の祖父がかつて暮らしていた場所。高校時代、家づくりのために母が読んでいた「住まいの設計」や「チルチンびと」。ページをめくるたびに、暮らしをつくることの楽しさを知り、古民家という存在に憧れを抱くようになった。やがてあき家となっていたこの家。屋根裏をのぞいたとき、堂々たる梁を目にして、ここを守りたいと心に決めたとKさんは話す。

作業スペースをゆったりと確保し、二人並んで立てるキッチンに。新たに設えた北側の窓から、峰山の木々が望める。ほっと心がほどける時間

玄関を入ると、復元した土間のひろびろとした空間が来客を迎える。憧れの薪ストーブはベルギー製

 リノベーションを依頼したのは、高松市国分寺町にショールームを構える「ウツミオリエンタル」。もともとはソファーを購入したのがきっかけで、建築士でもある片岡暁美さんと家具の相談を重ねるうちに、自然と住まいの話に。「古民家を受け継ぎながら暮らしたい」というKさんの思いに、片岡さんは真摯に耳を傾けてくれたという。「片岡さんのまっすぐな情熱に心を動かされて、この人なら任せられると思いました」。
食卓を囲む時間を何よりも大切にしたいと思っていたKさんにとって、キッチンは暮らしの核そのもの。そんな思いを形にしてくれたのが、ウツミオリエンタルのオーダーキッチンだ。木の質感と古民家の空気がやさしく調和し、料理をする時間が、家族と向き合ういちばん豊かなひとときになっている。

天井を取り払い、梁や柱をそのまま見せた空間に。素材の色みが濃いぶん、キッチンの側面はウォールナットで仕上げ、リビングの中心に据えた

高校生のころから少しづつ集めてきた食器をたっぷりと収納できるカウンターも、ウツミオリエンタルのオリジナルデザイン

 キッチンは、もうすぐ2才の長女にとっても格好の居場所。料理をするKさんの傍らで、キッチン台の片隅にちょこんと座り、その手元をじっと見つめ、小さな手を伸ばしては遊び、時には台所の香りに鼻をひく。料理をしながら、子どもの小さな成長や仕草を目にすることができるのも嬉しい時間だ。お正月やお盆には、ご主人の姉や兄家族が帰省し、みんなで食卓を囲む。リノベーションによって生まれたゆとりある空間のおかげで、Kさんはおせち料理にも挑戦できるようになったという。この夏は、獅子の集まりで人が集い、庭ではバーベキューも。ご近所とのつながりを大切にしながら、季節の行事も楽しんでいる。古い家の記憶と、新しい暮らしのかたち。梁の下で、時を重ねながら、家族や地域との日々が静かに続いていく。

ー2025年11月

黒いタイルは片岡さんのアイデア。縦張りにすることで、すっきりとしたスタイリッシュな印象に

ウツミオリエンタルHP

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