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文学不動産

File-07 Old buildings and new sensibility are in harmony古いビルと 新しい感性が調和する

June 05, 2020

TEN to SEN ゲストハウス高松

DIYの腕と
インテリアミックスの技に圧巻。

香川県高松市の商店街アーケードから一つ路地を入ったところに佇む「TEN to SEN ゲストハウス高松」。
 隠れ家的な雰囲気のエントランスからすでに気持ちが高揚する。フランスのアンティークもののドアを開けると、出迎えてくれたのは、オーナーの杉浦聡美さん。兵庫県西宮市の出身で、学生時代は環境計画デザインを学び、都市計画コンサルタントとして八年間大阪で勤務した経歴を持つ。
 なぜゆかりもない香川県でゲストハウスを?と尋ねると、「ゲストハウスがしたくて、地図をバッと広げ、女子受けする地域をマーケティングの視点から探しました。ピンときたのが、高松市なんです」観光資源としてのローカルフード、都市圏からのアクセスのよさも決め手だったそうだ。

インテリアミックスが素敵な共有スペース(フルタヨウスケ 撮影)

ご主人の理解を得て、移住したのが、2014年のこと。まだ香川県にゲストハウスが珍しかった頃に、一階に飲食店がある四階建ての鉄骨のビルを一棟買いした。その行動力にも感心するが、ビルの三フロアと屋上のリノベーションのほとんどを自分で行ったと聞いてさらに驚く。電気・水道・ガスと、壁などの構造以外は全てDIYだとか。
「最近またイメージをガラリと変えたんですよ」といい、館内を案内してくれた。二階の共有スペースから三階ドミトリールーム(相部屋)があるフロアへ続く階段には青のカーペット、壁は赤の毛糸柄の壁紙。共有のサニタリールームに映えるウィリアムモリスの壁紙も洒落ている。部屋のベッドももちろんDIY。
 四階は個室タイプ。モロッコ、トルコ、アフガニスタンで購入した絨毯や、IKEAの大きなペンダントライトなどのインテリアが非日常を演出してくれる。

左・中:2Fはエントランスとキッチンなどの共有スペース、3Fは男女混合ドミトリー・女性専用ドミトリー、4Fは個室が3部屋
右:階段も楽しく演出

「作業を手伝ってもらっているスタッフにも言っているのですけれど、DIYは失敗してもいいんですよ」と笑う杉浦さん。どのフロアも多国籍なインテリアとカラフルな色に溢れているが、ほっこりと落ち着けて温もりがあるのは、杉浦さんの感性と、古いビルの味わいがあるからこそ醸し出せる業。
 必要なところに必要なものを自分で作る。そんなものづくりをすることが当たり前の家庭で育ったという杉浦さん。
 現在、姉妹店で女性専用のゲストハウス「TEN to SENCOCO」が、徒歩一分の場所にある。
 杉浦さんの手がけた居心地のいい空間は、大事な旅の思い出の一ページとして刻まれることだろう。

ー2020年6月

杉浦さんの訪れた海外は50カ国を超え、中でもモロッコ、メキシコ、スリランカが好きだという。有名な建築家がいることや、それぞれの国に訪れたい理由がある

姉妹店の女性専用の「TEN to SEN COCO」は田町商店街アーケードに立地

TENtoSEN ゲストハウス高松 HP

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