パートナーインタビュー
瀬戸内海の島の空き家再生で、 ひと・まちを元気に
山倉建設
香川県丸亀市沖合の瀬戸内海に浮かぶ、塩飽(しわく)諸島。その島々のひとつである「広島」は、香川県丸亀市に属し、塩飽諸島の島の中では最大の面積を有しています。
そして、現在、広島の200年以上の歴史を誇る、尾上邸(おのえてい)の改修・再建を行っているのが、「山倉建設」代表取締役社長の山倉康平さんです。取材に伺った日も、山倉社長は、広島で所用を済ませた後、船で多度津町にある事務所に帰社したばかりでした。
取材場所は、社屋に隣接したレンガ積みのモデルハウス「和趣の家~れん雅」。
「ぜひ、スリッパを履かずにどうぞ」といわれて部屋へ上がると、床はストッキングでもひんやりとせず、むしろ、温かく感じました。素足でも心地良く過ごせる自然素材の床に加えて、家じゅうの湿度と温度が調整された優しい空気の住宅、それが山倉建設の手掛ける高断熱住宅です。
さて、話は広島に戻ります。
丸亀市の委託業務として広島の集客イベントを行っている「山倉建設」。
「2018年3月から尾上邸の再建に取り組んでいます。昔の廻船(かいせん)問屋の趣を持つ、雰囲気のいい建物なんですよ。天保3年の屏風など、お宝もたくさん残っていて、島の歴史やロマンを感じることができます」と山倉さん。
尾上邸の写真を見せてもらうと、歴史ある建物の風格を感じ、今では造ることができない石垣に囲まれていてとても見事です。
「今月から広島を回る、ツアーイベントを開催するんですよ。尾上邸を訪問し。島全体の歴史文化を聞いてもらい、その後は、清掃活動を行います」
参加費はお弁当付きで500円。歴史やロマンに触れることができるこのツアーイベントは、みかん狩りなど内容を変えながら、今後も開催されます。
「島は、特に夕暮れから満天の星が眺められる時間帯が本当に美しいんです。
そして朝起きると、耳に入ってくるのは、鳥のさえずりのみ。気分もリフレッシュできるし、読書にも集中できます」
「島は高齢化が進でいて、空き家問題もありますが、移住者も少しずつ増えています。テレワークで、2拠点居住も可能な時代ですから、今こそ島暮らしをおすすめしたいです。塩飽諸島の他の島とも連携をとりながら、観光資源だけでなく、瀬戸内海の島全体の魅力を伝えていきたいと考えています」
山倉さんは、このほかにも、香川県の中讃2市3町(丸亀市、善通寺市、琴平町、多度津町、まんのう町)の空き家問題、移住・定住推進に力に注いでおり、古民家を利活用してもらうために、様々な活動を行っています。
例えば、築100年の古民家を再生した民泊施設「金倉苑」。ここはコミュニティ広場としても活用しており、「好民家クラブ」という地域の空き家の利活用推進を考える会の事務所もあります。
また、「空き家アドバイザー協議会」の活動や、古材で作ったコミュニティ施設「どろんこ亭」で開催している、高齢者の支援をお互いさまの心で助け合う、「おたすけネットワーク」など、ボランティアを含めていそがしい毎日を過ごしている山倉さん。
「さまざまなイベントを通じて、地域の方々との絆づくりに寄与できたらと願っております。また、地域活性化のためには、まずは『まちを知ってもらうこと』が大事です。そして、移住する人の不安のひとつである地域住民とのコミュニケーションなど、できることはサポートしていきます」
Interview 2020.6.26