エリア情報
多度津
歴史を感じさせるまちのあちこちを散策
September 23, 2020
今回訪ねるのは、江戸時代には多度津藩が陣屋を構えた港町。北前船の停泊地とあって、大量の物資が行き交い、金刀比羅宮へと続く「金毘羅五街道」の海の玄関としても賑わっていたとか。明治時代には、多度津七福神と呼ばれる廻船業の大商人を中心に交易の町として栄えた。
そのため、今もなお中心部に残る町家や蔵屋敷には、江戸・明治・大正・昭和と様々な時代の面影が残っている。また、一本路地を入れば、昔の様相が残っているのもこのまちの魅力。要所にある説明書きの立札から、当時の様子に想いを馳せられる。「たどつまち歩きの会」の方に案内していただくのも一興。歴史の数々をじっくり楽しむひとときを過ごせる。では、往時を思い浮かべつつ、多度津散策とまいりましょう。
まずやってきたのは、昭和の商店街の風情が漂う本町通り。ここには「多度津七福神」の邸宅のうち、唯一現存している「合田邸」がある。
年月を経ても、その佇まいは昔のまま。和洋折衷の邸宅内にはステンドグラスやタイルなども設えられており、当時の生活が目に浮かぶよう。
かの北原白秋も何度も滞在したというその空間を、ぜひ一度体感したい。
約640坪という広大な敷地に母屋や洋館、離れなど18棟もの建物を持つ「合田邸」。
磨き上げられた窓が美しい「エジプトの間」は、金銀のふすまで彩られていたとか。
大広間のシャンデリアや応接間のステンドグラス、中庭の向こうにある洋館のタイルなど、ディティールまで必見。予約をしてでも見る価値は大だ。
多度津の豪商の邸宅「合田邸」を出て、本通りを歩くと、古い建物や懐かしい看板、レトロなタイルやなまこ壁などがあちらこちらに。カメラ女子ならずとも思わずスマホを取り出したくなるノスタルジックさが道やその奥の路地に潜んでいる。その本通りには、旧多度津信用金庫の建物をそのまま活かした「Tetugakuya」が佇む。軽食はないものの、コーヒーや紅茶などのドリンクを提供。
店内に置かれているのは、デザイン性の高いアイテムたち。哲学という店の名のとおり、どこか不可思議な世界観を持つ作家ものなどが並んでいる。
店内にたくさんある書物は自由に読むことができる。店内は常に製作過程にあり、営業しながら変化していくそう。
一つひとつに潜んでいる物語を感じてほしいと、定期的にFBやブログを更新。店休日とともに確認してから出かけて。
続いて向かったのはレトロな老舗「柳原菓子店」。お店で手焼きされているのは、戦後間もなくから味も焼き上げ方も変わらない素朴なせんべい。多度津の昔語りのひとつ、出兵する息子・一太郎を見送る母のエピソードにちなんだ「一太郎せんべい」のほか、面せんべいや塩入りせんべいなども。
本通りにあるノスタルジックな店構えの銭湯は、実は中に入ると喫茶店!
町なかに未だ残る手つかずの古民家にもっと光が当たるように、との想いから生まれた唯一無二のお店だ。
地域の作家の展示などイベントも随時実施。
はす向かいには自慢のお惣菜が人気の「お惣菜処てつや」があり、あわせて訪ねてみたい。
かつて刀の原料を提供していた「てつや」の屋号を踏襲し、地域密着のユニークなお惣菜処に生まれ変わった。地元食材を使った日替りランチが好評。
最後に向かったのは「家中舎(かちゅうしゃ)」という複合施設。本通りから離れた閑静な住宅街で、付近には瓦葺の屋敷が点在している。家中という変わった地名は、この地を治めた京極藩主の家臣団(家中)の屋敷が連なる城下町だったことに由来する。
築一九〇余年の武家屋敷は、壁や天井が取り払われて大きな一間にリノベーションされている。「家中舎」では色鮮やかな地元産食材を使った食事はもちろん、バーや宿泊施設も備えた、結婚式など大切な人との時間を提案。
まずは地産地消の昼膳・夜膳を楽しんでみては。着付体験やお茶会も随時開催。
趣ある見どころが点在する多度津の町並み。古き良き時代を思い浮かべながら、しっとりと歴史に浸るひと時を過ごせるエリアだ。
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