エリア情報
善通寺
映画の主人公気分で街を散策。タイムトリップ善通寺
August 28, 2020
香川県善通寺市は、香川県の真ん中あたり・中讃地域にある古い街。弘法大師空海の生まれ故郷として知られ、四国八十八ヶ所霊場第75番札所・総本山善通寺がその名前の由来となっています。五岳山という特徴的な形の5つの山が街のシンボルです。
金刀比羅宮のある琴平町や瀬戸内海の港町・多度津町や丸亀市と接しており、明治時代には大日本帝国陸軍の第11師団が駐屯していたこともあって、当時の歴史ある建物や懐かしい風景が点在しています。
近年では、「踊る大捜査線」シリーズなどで知られる香川県出身の映画監督・本広克行氏が手がけた映画「サマータイムマシン・ブルース」の、主たるロケ地となりました。もちろん映画を見ていなくても、善通寺の町並みには、懐かしさを覚えるはず。善通寺市は、さあ、まずは映画の舞台となった大学へタイムトリップ!
映画の舞台となったのは、善通寺市の中心部にある四国学院大学。広々とした構内のあちこちがロケ地となっている。「サマータイムマシン・ブルース」の撮影時に主人公の所属するサークルの部室セットが組まれたのは、通称ホワイトハウスと呼ばれる建物。
歴史をさかのぼれば陸軍第11師団の騎兵連隊本部だったという建物は、明治時代の面影が残る木造建築。真っ白な外壁が青空と芝生に映えていて、ここで学べるなんて羨ましい!現在は映画の各所シーンに登場する建物の外観を見学可能です。
続いては、赤レンガ倉庫の向こうに見える五重塔目指して進みます。
創業明治29年。善通寺名物『熊岡のカタパン』として長い間愛され続けているお店が、総本山善通寺の裏にあります。
日清戦争が勃発したころ、大阪で軍用食の開発に携わっていた初代が、日持ちと腹持ちがよいものという軍の要望で作ったのがカタパンのそもそものはじまり。その後、善通寺に帰郷し、旧陸軍11師団の御用達としてカタパンを納入しはじめたのだそう。
昔ながらの味わいは、噛めば噛むほど美味しさがります。特に石パンは、石ころのような硬さ!レトロな紙袋のデザインも郷愁をそそります。
石パンとショウガのきいた小丸パンに、角パンや中丸パン、大丸パンなども。
実はこちらも隠れた定番。4種類の洋酒を使ったアーモンド、くるみ、ドライフルーツ入りのバターケーキも人気商品です。ほかにアーモンド、くるみも。
レトロな店構えと、木枠のショーケースも必見。人気店のため、朝早くから多くの人がひっきりなしに訪れます。カタパン各種は売切れ必至、早起きして訪ねよう。
熊岡でカタパンを手に入れたら、ちょっと優雅なカフェタイムを過ごすのも◎。善通寺市役所に隣接している旧善通寺偕行社(かいこうしゃ)で、古き良き時代に浸りたい。
明治10年に創立された陸軍将校の親睦および学術研究を行う団体「偕行社」。その社交場となったこの建物にも同じ名称が用いられています。全国各地に「偕行社」が残っていますが、善通寺市の偕行社は明治36年、第11師団の将校たちが竣工したもので、国の重要文化財にも指定。
明治時代のロマンを物語る洋風建築は、見学はもちろん、申請すれば館内の利用もOKです。過去には結婚式や音楽会、ファッションショーも開催されたのだとか。
「偕行社かふぇ」では、モーニングからランチ、スイーツまで充実したカフェタイムが過ごせます。窓の向こうには、モダンな建物と庭園の美しいコラボ。
気候の良い時期には、テラスで過ごすのも気持ちいい。
善通寺の中心エリアから少し離れ、レンタサイクルや車で行ってみたいのが鶏足山 宝幢院 金倉寺(けいそくさん ほうどういん こんぞうじ)。
明治31年、善通寺に新しくできた第11師団を初代師団長として率いたのが乃木希典将軍。善通寺で過ごした2年10ヶ月ほどの期間滞在したのが、四国八十八ヶ所霊場第76番札所でもある金倉寺だったそう。当時愛用していた碁盤やランプ、グラス、器などの私品も現存(現在は非公開)。
境内には、東京から訪ねてきた夫人がその木の下で待っていたものの、将軍は会うことなく夫人を帰らせたというエピソードの残る松もあり、明治時代に想いを馳せる時には訪ねておきたい場所のひとつ。
金倉寺に祀られている訶利帝母(かりていも)は、地元の人々からは「おかるてんさん」という愛称で親しまれています。子授けや安産、子どもや女性の守り神として古くから信仰されているのだとか。境内では安産祈願や七五三などの祈願も受け付けている。「おかるてんさん」の象徴であるザクロのモチーフがかわいらしいお香や安産守りなどのグッズも見逃せない。安産守りは、「良い案が生まれる」ことからものづくりをされる人にも人気。
金の倉という名にちなんでつくられた小判型のお守り。ご利益ありそう!
善通寺市に旧陸軍師団が置かれるようになったのは、街の後方を守るように五岳山があること、清水が湧くことなどの地理的好条件がそろったことが理由。懐かしくも整然とした街並みを歩くと、長い歴史に想いを馳せたくなります。往時のままの店を訪ねるもよし。戦前の歴史にふれるもよし。楽しみ方は無限なのです。
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